(note過去記事)あっけない。

(note過去記事:2019年3月21日公開)

 

人生はあっけない。

だから、たまに生きる価値を見失いそうになる。

 

1人の内定者がいる。その裏で、あっさりと祈られた人たちの存在を、僕たちは知らない。

あっけない。

 

1組のカップルがいる。その裏で、涙を飲んだ人たちの存在を、僕たちは知らない。

あっけない。

 

1人の死人がいる。その裏で、伝えたかった想いを一生伝えられなくなった人たちの存在を、僕たちは知らない。

あっけない。

 

内定者も、祈られた人も、恋人たちも、振られた人も、死んだ人も、残された人も、みんな悪くない。

みんな悪くないから、もうどうしようもない。

 

人生は、喜劇にしては辛いことが多すぎるし、悲劇にしてはあっけなさすぎる。

人生には、絶対的な善人も、絶対的な悪人もない。

人生には、絶対的な善意も、絶対的な悪意もない。

運命も、伏線も、演出もない。

どんなに悲しいことがあっても普通に地球は回るし、普通に朝が来る。

神様は、僕たちの人生をドラマにしてはくれない。

 

神様がその気なら、自分が自分の人生をドラマにすればいい。

嬉しい時は喜劇の主人公ぶって心の底から笑えばいいし、悲しい時は悲劇のヒロインぶって心の底から泣けばいい。

その辺に落ちてる恋を、運命だと思って抱擁すればいい。

理不尽な困難に意味を見出して、伏線として後から回収すればいい。

どこにでもある道を、ランウェイだと思って歩けばいい。

 

人生は、観客のいないドラマだと思う。

神様も他人も、自分の人生にそこまで興味はない。

自分が満足するドラマを演じ切れればそれでいい。

演出:自分。脚本:自分。演技:自分。監督:自分。

はじめからドラマになっている人生はきっと、つまらない。

 

人生はあっけない。

だからこそ、生きる価値がある。