【感想文】ボーイフレンドの煌めきが一生続く世界であれ

ゲンセイが「行こう みんなで」というシーン

(※この記事は盛大なネタバレを含みます)

 

「ね〜〜!!昨日のエピソードさ〜〜〜!!!めっちゃよかったよね?!?」って学校に登校して即親友に告げたい恋愛リアリティショー第1位こと「THE BOYFRIEND」。

 

9人のゲイ/バイセクシュアル男性がグリーンルームという家で1ヶ月程度の共同生活を行い、そこで恋愛や友情などを育んでいく物語であり、日本では初めての同性同士の恋愛リアリティショーとなります。

全10話のサムネイルが一覧になっているキャプチャ画像

 

 

これがさ、本当に素晴らしかったわけ。

作っていただいた製作者の皆さんと、様々なリスクもある中で出演を決めてくれた出演者の皆さんに、まずは心の底から御礼を………。

 

これが日本に届けられた希望をいくらでも語りたいわけよね。こんな機会滅多にないからさ、希望の味がしなくなるまで、味わい尽くしたいわけ。

ということで、前置きをすっ飛ばしてお話を開始します。14000字ありますが、可能な限りお付き合いください。

 

最高のBGMはこちらでお願いします。


■目次

 

同性同士の恋愛を「取り戻す」

同性同士の恋愛リアリティショーを見て、こんなに恋リアって面白いんだ、って思ったよね。

これまでの恋リアはノンケものしかなかったから、観てもいまいち自分向けだと思えなかったけど、ふつうに男性同士が恋愛している姿を見て、初めて自分がいるなって思えてびっくりした。社会から、あなたみたいな人がいるって知ってるよ、と言われた気がしてすごく安心した。(わたしはゲイ男性です)

海外の同性同士恋リアもありがたく拝見していたのだけど、自分が慣れ親しんだ言葉を交わしていることでこんなにも自分向けだと思えるだなんて、これを見るまで気付かなかった。

これまでは異性愛者の皆さんへのエンパワメント恋リアが多いように見受けられましたので、是非これからはクィア(特にゲイ男性以外)へのエンパワメント機会になりうる恋愛リアリティショーが増えていくと嬉しい限りです。

 

でさー、自分がいる!と思えるから、すごい勢いで感情移入して見ちゃうわけ。

まず何がいいって、共同生活ということよね。現実での同性との恋愛の始まりって、多くがアプリなどでスタートになりがちな中、これは現実世界のコミュニティの中で恋愛が進展していくから新鮮。

誰かの横顔を見て人を好きになれるという革命 そうすると何が起きるかというと、同じコミュニティ内に恋のライバルができる可能性が浮上するわけね く〜〜〜〜っ しびれますわ

 

働くという設定もかなり良かったよね、好きな男が真面目な顔して働いているところとか普通に見たいし……。今日はあの人と同じシフトだといいな♪みたいなことでしょ?

ねーーーーーそれってすごい青春じゃない?楽しいんだけど!

 

そう考えるとさ、グリーンルームでの恋愛って、クィアの人間が排除されがちだった恋愛のあり方を取り戻しているようにも見えるわけ。

カミングアウトの必要やアウティングの心配がないコミュニティで、時間をかけて友達から関係を深めながら、時にはバイト先での姿にときめいたりして、悩んだら気兼ねなく友達にも相談しながら、うまくいったりいかなったりする。

現実世界で我々が諦めかけてきた恋愛の形が、リアリティショーだから成り立つ、という歪な構造の中で、彼らがいっときの青春を取り戻しているようにも見えてきて、なんかそれだけで泣けた。

 

はあ、現実世界でこういう恋愛したかったすぎ

 

「弱さ」と「連帯」のストーリー

グリーンルームでは様々な人間関係が交錯していくわけですが、恋愛はもちろん、恋愛以外の連帯ともいうべき友情が描かれていたのも今作の特徴の一つ。

これが本当にいいんですわ

 

みんな異性愛者ではないことによる共通の苦悩を抱えていることが前提としてありながら、人並みに恋愛のことでも思い悩む。その苦悩の大小や捉え方は、置かれている立場によって様々。

そんな彼らが、自分の体験や考えをもとに丁寧に言葉を交わしながら、自己開示をしていく。その過程でときに痛みや弱みを見せ合いながら、その交差の中から立ち現れてくる連帯やエンパワメントのあり方が本当にかけがえないほどに尊いのですよ。

 

「どうしてこんなふうに生まれて来ちゃったんだろう」と自分の人生を振り返りながら互いの傷を共鳴させる二人、
水族館にデートに行きたくても周りの目が気になって行けないと諦める友人に「行こう みんなで」と差し出される救いの手、
両親へのカミングアウトを前に悩む友人に向けた「もし受け入れられなくても、ここにいることだけで意味がある」と暗闇の中にある光の存在を肯定する言葉、

そのどれもが、暗く霧深い世界に吹く爽やかな海風のようで、泣きたくなる。

 

当然、恋愛のライバルでもあるのだけど、誰かを「奪う」なんて言葉は一切出てこなくて、最後までずっと相手のことを、ひとりの人間として尊重できる人たちだった。

ときには感情豊かにぶつかるけれど、どこまでも爽やかで、挫折も悔しさも全部を糧にしてさらに魅力的な人間へと成長していく人たちだった。

全部の感情をなかったことにしないことを青春と呼ぶならば、グリーンルームでの1ヶ月間は紛れもない青春だったように見える。

 

男性が集まった集団で想起されるようなホモソーシャル性が極力排除され、
「強さと競争のゲーム」ではなく、「弱さと連帯のストーリー」が生み出される奇跡。

砂漠の中のオアシスともいうべきあの暮らしを見ることで、知らず知らずのうちに我々の心もケアされ、救済されていくわけ。

一つ屋根の下に集った9人の男性が、ロマンスも連帯も含む「愛」を見つけ、寄り添う力を互いに発揮し、弱さの中で互いに共鳴しながら、強さを学んでいく。

ボーイフレンドはそんな物語であり、そんな現実世界であるのですよ。

 

「おなじ」と「ちがう」のバランス感覚の妙

こう見ると、ボーイフレンド本編は同性愛と異性愛を「同じもの」として描く側面と「違うもの」として描く側面のバランスコントロールが優れていたとも言えるのよね。そのバランスが、ここまで書いてきた魅力の基盤になっている。

同じものとして描く上ですごく功を奏していたのが「ステレオタイプの払拭」ということで、プロデューサーのTaikiさんも意識していたと語っておりますので、ここでいくつかご紹介します。

(キャスティングで意識した点について)

「さまざまなタイプの方々の、さまざまな考え方を視聴者の方に見てもらいたい」という思いが原点でしたから。見た目ももちろん大事なんですけど、中身を重視する方向にかじを切りました。

条件は、人と人との出会いを大事にし、恋愛、もしくは友情を育んでくれるような人たちで、見た目がそれぞれ違う人たち。

Netflix「ボーイフレンド」はほかの“恋リア”と何が違うのか?プロデューサーTaikiにインタビュー|エスクァイア日本版

僕は、(セックスの)ポジションによる数合わせとか、全く意識してなかったんです。というのも、そこは抜きにして、共同生活した中で何が起こるかがメインですから。もちろん、関係性が深まってセックスの話が出てきてもいいし、しなくてもいい。

――(インタビュアー)まさにそれが、この作品最大の特色にもなっていると思います。セックスが絡んできてしまうと、今まで作られてきた恋愛リアリティショーと何も変わらない。しかも、ゲイの出会いは、セックスに密接に関係しているイメージが当事者間だけでなく、一般でも定着しつつあります。

でも、そういう出会いを求めない人だっていますし、恋愛が十人十色ということを表現するためには、極力ボーイズの共同生活にフォーカスすることだと思うので、ポジションにこだわらなかったのは正解ではないかと。

そうですね。それだけでなく、ゲイも一枚岩ではないことが分かっていただけるんじゃないかと思います。今までテレビ業界で描かれてきたゲイのステレオタイプ、たとえばオネエキャラであったりに違和感を感じている当事者はたくさんいる反面、それが全てじゃないのに、ステレオタイプに縛られている非当事者が多いですよね。

もちろん、ステレオタイプもいいんです。僕の友だちにもいっぱいいますし、大好きなんですが、それだけじゃないよってことは、視聴者の皆さんに知ってもらいたかったんですよね。

Netflix「ボーイフレンド」はほかの“恋リア”と何が違うのか?プロデューサーTaikiにインタビュー|エスクァイア日本版

ゲイやバイセクシュアルといっても、僕たちってそんな特別な人間じゃないのよ、どこにでもいる人たちなのよということを知ってもらえたら。『実は自分の周りにもいるのかもしれない』と気づいてもらえるきっかけになれたら嬉しいです。

Netflix「ボーイフレンド」が日本トップに、MCとプロデューサーに裏側を聞いてみた(前編) | Business Insider Japan

 

一方で、とはいえ同じではない側面を描くことの重要性もこのように語られております。

お話を進めていく中で、「恋愛に関して、男女であっても同性愛であっても特に変わりがない」っていうことを共通認識としてもっていたんですが、われわれ当事者寄りで独自のエピソード……たとえばカミングアウトの背景などですが、今までゲイとして生きてきた中で悩んだ部分を語り出す瞬間が自然と出てくると、「このコンテンツの独自性が出てくるんじゃないか」という期待がありました。

(中略)僕たちのリアルな恋愛のプロセスにおいて、ああいった話は必ず出てくるものですからね。

Netflix「ボーイフレンド」はほかの“恋リア”と何が違うのか?プロデューサーTaikiにインタビュー|エスクァイア日本版

ゲイの男性同士でも家を借りるのが難しかったりする上に、自分の場合はパートナーが韓国人なので、さらにハードルが高いんです。

同性婚ができて配偶者ビザがおりればいいのですが、それが難しいので、自分の会社で彼を雇用してビザを出すことで、なんとか一緒に暮らせています。

今はどこかみんな我慢したり諦めたりしている。同性婚の法整備があるだけで、もっともっと得られる幸せがあると思います

Netflix「ボーイフレンド」が日本トップに、MCとプロデューサーに裏側を聞いてみた(前編) | Business Insider Japan

そのほか、出演者に対する心理面のケアもきちんとなされていたとのことで、本当に、やるべきことから逃げない製作陣だなと感動。

 

9人の出演者はもちろんのこと、製作者の皆さんも絶妙なバランス感覚の中で作品を作っていたことがわかって納得とともに大感謝でしかないわよね。メディア側のリテラシーが問われている昨今、当事者の作り手やこのように素晴らしいチームがこれから増えていくことを本当に期待しています。

 

ただ、今回本当に未公開シーンが良すぎたので、未公開シーンを本編に入れて全100話くらいにしなかったことは作り手の落ち度だったと思いますね、ええ(スパルタ視聴者)

 

 

9人へのお手紙タイム

ああ、人知れず悩みながら、それぞれの歩幅でここまで生きてきたであろう9人の人生が、この場所で交わってくれて本当に良かった。

どの9人にも思い入れがあるため、9人全員にお手紙書きたくなってきたな、書くか。
(※読まれない手紙だということをいいことに、言いたい放題書いています。順不同)

左から、アラン、ダイ、ゲンセイ

左から、イクオ、カズト、リョウタ

左から、シュン、テホン、ユーサク

Netflix番組紹介ページより)

 

カズト氏へ

あんたはふつうに働きすぎ ユーサクに割り当てていた胸肉代をあんたの慰労費に割り当てたほうがいいと思うの

あと、モテすぎ あんた見て初めて、モテるのも楽じゃないんだなって気付けたよ もういい加減にして!って僕ならなりそうなものを、一人一人に真剣に向き合って、個々人に合った振り方をしている姿に人間力の高さを見せつけられました。

もし僕がグリーンルームにいたらあんたと自分を比べて劣等感抱いちゃいそうな気がするけど、いくらモテたって、本当に好きな人と結ばれなくちゃ心の穴はふさがらないんだよね、わかんの(モテないなりの共感) 

あんたって誰にでも優しいけど、行き過ぎないんだよね あくまでも人間一般に対する慈しみみたいなもので、個別の人間への優しさとかは迂闊に見せないわけ
そうするとこちらは、僕だけに向けたカズトの顔が見たい!となり、一気に恋愛まで大加速ゴールインになるわけ 「僕が節約レシピを作ります」のあの表情は何 僕がユーサクなら、叫びながらiPhoneを取り出して、叫びながらLove So Sweet流して、叫びながら窓ガラスをぶち破ってプールに飛び込んでましたよ?

はあなんて罪な男 まあアンタからすると、勝手に好きになられた挙句に「罪な男」呼ばわりされても迷惑だと思うけど… 本当にそうだよね… 許して……

 

 

ダイ氏へ

あんたがいなかったらたぶん誰もシュンの相手できなかったと思う すごいことしてるよ本当に 人を好きになることでこんなに人って変わるんだって思った

尽くしすぎて身を滅ぼさないことだけうちと約束して 頼むから

あとイクオに強く当たったことさ、あとでアンタからも謝っときなね……。イクオだけプールに飛び込むんじゃなくて、あんたもあの場で飛び込んでおくべきだったと思うの。プール飛び込みも恋も、チャンスを逃したらおしまいだからさ←別に上手いこと言えてないですよ

そういえばあんたは冒頭で、性的マイノリティの権利について国や社会に異議申し立てをしない方がいいじゃないかということを言っていたけど、この番組に出て、同性に素直に好きと伝えていたり、仲間の両親へのカミングアウトを励ましている様子を見ると、あんたはすでに、社会に対する異議申し立てをして、社会を前に進めていたんじゃないかと思うの(あんたはそう思っていないかもしれないけど)

その先にシュンとの結婚や、養子の迎え入れができる社会も待っていると思うのよね(あんたはそう思ってないかもしれないけど)

 

 

プリンセス・シュンへ

あんた・・・しっかりしな〜〜〜〜?????

まあでも、育ってきた環境が違えばそりゃ求める愛の形も違うだろうし・・・ 何より、そういうあんただから愛してくれる男がいたわけだから、これでよかったんだろうし、多分これから安心できる愛のもとですくすく成長するのよね

あんたの姫ムーブ、正直見てて羨ましかったよ 全世界配信の番組に出て姫ポジやれるってすごいよ 本当はみんなあんたみたいに自分の気持ちに素直になれるといいのかも まあ、みんながあんたみたいになったらおしまいなんだけどさ・・・ 

とはいうものの、意外とあんたって友達とうまくやってるところよく見るし、テホン氏からの金言も、あんたがテホン氏といい関係だったからこそもらえたものだと思うの
多分うちらには見えてないけど、人間的な魅力がきっとたくさんあるのよね これからダイと過ごす中でその魅力が育っていくのよね すっごい楽しみにしてるから

それはそうと、あんたのゴーカートのモチベは一体なんだったわけ?意外とスポ根気質なわけ?

 

 

ユーサク氏へ

あんた、自分のLINEの名前を「ユーサク」とかにしてたら許さないから

いや、ほんとに、ピュアで不器用なあんたの姿が本当に愛おしかった

あんたって多分あれだよね、クラスの中で面白いキャラじゃないけど、隣の人にギリ聞こえるくらいのボソっという一言が地味に面白いタイプの男 うちのクラスにもいたわ あれってアンタだったんだ
だから本編には採用されないけど、未公開シーンで面白モノマネが公開されたりするんでしょ あれホント最高だった

帰るのが早すぎだよ、最後にカズトとシフト組んでた時のあんたたちの雰囲気、ものすごいよかったんだからね 海辺のドローンもものすごい早さで飛行してたでしょう

あんたもさ、彼氏と水族館とか一緒に行けるようになるといいね 誰しも、はしゃぎたい場所ではしゃげる人生であってほしい あんたがはしゃげる社会であるべき どうかあんたにもそう思っててほしい はしゃぐことをあきらめてないでほしい あんたみたいなマッスルウルフが水族館ではしゃげる世界が一番いいんだからね

 

 

テホン氏へ

ごめん正直テホン氏が一番いい なんか最初のカフェの名前決めるところ見たときの印象が「就活のグループディスカッションの同じ班にいたら怖いかも」だったから第一印象勝手に下げてたんだけど、ちゃんと性自認確認したり、社会に異議を申し立てる重要性をわかりやすく伝えたり、相手の話を最後まで聞いて言葉を選んでアドバイスしたり、ファビュラスインテリマッチョよアンタ

30代であることや両親へのカミングアウトについて、自分の弱みを丁寧に見せる姿が印象的だったんだけど、自分の弱さをなかったことにせずに向き合ってきたからこそ、相手の弱さも尊重できる、優しい人になったんでしょう

あんたが悩んだ足跡も、出せなかった一歩も、今ここにいるテホン氏を構成する全てだったと思うと、涙が出そうになる 本当だよ

グリーンルームの8人も、うちらも全員味方だからね 忘れないでね

あと毎回シフト立候補してて偉すぎ みんな選びなよテホン氏のこと ウチだったら毎回テホン氏選ぶけど、いいわけ?それで

 

 

ゲンセイ氏へ

あんた本当にずっと可愛かった ゲンセイ映るたびにすっごい幸せになってた人、僕だけじゃないと思うの

あんたのこと好きになる男って40億人くらいいると思うんだけど、今回に関してはちょっと相手が悪かったよね でも、そんな場面で相手の気持ちを一番に尊重して、相手の負担にならないようにって思いやれるあんたが誇らしかった

30代になった大変さもあるけれど、間違いなく、たくさん経験してその度に考えてきたあんただからこそできる優しさの形がそこにはあったよ

あと多分あんたは、純粋に目の前の人を知りたいっていう気持ちが人一番強いのかな みんなで話している時や新しい人が来た時、いつもゲンセイが質問をしてそこから話が広がっていく場面が多かったよね

質問の仕方も偏見を持たないフラットなものが多かった 印象的だったのは、年齢的にそろそろ運命の相手に出会わないと…と焦るテホン氏に対して「でも、ひとり好き?」と尋ねるシーン。これが言えるのって、本当に相手のことを知ろうとしている人にしかできない ゲンセイ、本当に、自分を誇って お願いだから

あとお願いだから着てる服のブランド全部教えてほしい 全部似合いすぎ 多分うちが来たら全部似合わないけど

 

 

イクオ氏へ

イクオ氏、あんたの存在は大きかったよ 途中から来てあんな存在感出せないよふつう この役回りはあんたにしかできなかった もっと感謝されるべき

正直最初見たときはちょっとテンションが合わないかもって思っちゃって、アンタみたいな男はどうせマッチングアプリで簡潔に自己紹介書いて最後に「顔写真ない人リアクションできません」とか書いた上で自分のmbtiでも載せてるんだろうがよ、って思っててごめん(イクオになんかされたわけ?) 

なんだけど、シュンがダイに謝るシーンで、静かに、けれども気を使いすぎずに立ち回ってるのとか見て、すっごい繊細な人間力あるじゃん・・・ってなって普通に反省しました本当に申し訳ありませんでした

あと9話でダイとシュンをどうにかして仲直りさせようとしてたところとか本当健気だった あんたマジで何も間違ってないのに、謝ってるのも本当偉い 偉すぎる 僕だったら逆ギレしてると思うあの場面、ふつうに 今から一緒に逆ギレしにいくこともできるけど、どうする?

あんた最高の男だよ 僕の目が節穴だったよ これからもイクオが屈託なく健やかでありますように

 

 

リョウタ氏へ

ごめんあんたほどLINEの使い方が下手な男初めてみた

なんかね、カズト片想い中のあんたってすごい可愛かったし健気だったんだけどさ、あの時のあんたって、何もかものタイミングが悪かった 誰かのタイミングに振り回されて、あせらされて、自分のタイミングで恋愛できてないような、そんな風に見てました(コーチ面?)

友達と話してる時のあんたはあんなに魅力的なのに、って悔しかった 普段のあなたは等身大で、必要以上に人に媚びない だからみんなリョウタになら、って自分の心の奥を見せるのだろうね
人に寄り添い、人の本心を引き出すプロフェショナルのあなたが、自分の感情を扱うのに苦労しているところは見ていて悲しかったけど、でも同時に少し人間らしくて嬉しかったかも

それでも、最後までずっとあきらめずに、アプローチし続けるあんたの芯の強さは見上げたもんだよ 他人のデートに弁当作るあんたの度胸も嫌いじゃないよ 僕だったらできないなって思うけど、カズトのこと諦めきれないのもわかる カズト最後まで可愛かったし…あれで諦めろって方が無理だよね

まあ、うちだったら絶対にゲンセイと付き合う一択だけどね 悪いけど

 

 

アラン氏へ

Twerkの腰使い講座を開いていただくこと可能?

アランはさ、見た目の陽気さやポジティブさで誤解されそうになるかも知れないけど、個々人に対して寄り添える力がすごすぎる 相手がどんな状況にいて、どんな言葉をかけたら良いかを察知し、それをマイルドに伝えるという技術がすごいわけ ユーサクを励ますシーンも、テホン氏の背中を押すシーンも、一度は振られたカズトに寄り添うシーンも、胸肉会議のシーンも、喧嘩中のダイを励ますシーンも、全部違う寄り添い方なのに、全部ちゃんと愛で、びっくりした。

確かに恋愛のスピードが速すぎて見てるこっちも変な汗かきそうになった場面はあったけどさ(汗)、あなたは愛の人だし、人を愛するすべを知っている人だよ
急にほぼ裸でマッサージしようとしてほんとに汗が滲んだけど(汗)

苦しい記憶も寂しい気持ちも全部糧にして、愛する技術を心得ているあなたがいたから、グリーンルームはいつも太陽のように明るかった これからもずっと太陽のような人でいてほしい あなたの光を必要としている人はたくさんいるんだよ そしてどうか、あなたにとっても太陽のような人と一緒にいてほしいよ

 

待って書きすぎたかも でもあんたたちも書けるなら手紙書いたほうがいいよ

人を愛する気持ちって、せわしない日々の中でたやすく見えなくなってしまうから……

 

本編を取り囲む異性愛規範の壁

こんな9人が集まったことが奇跡だし、こんな9人を集めたプロデューサーの手腕には頭が上がりませんよ

ということでね、最高の恋愛リアリティーショーを本当にありがとうございました・・・

 

 

とは、終わりませんよ 今回は 言いたいことがあるのわたし

 

 

ボーイフレンドは恋リアの定番である、本編+MC5名によるスタジオリアクションの2段構えで構成されており、そのほかにも「ボーイフレンドナイト」と題された、MC+ゲストでボーイフレンドを語る特別番組が公開されています。(ブログ執筆時点では3本公開)

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MCやゲストの皆さんのトークは等身大で共感できるものも多く、ボーイフレンドを楽しむ上で華を添えてくれており、毎回心待ちにしていました。誠にありがとうございました。ただ同時にあまりにも「異性愛規範の壁」通称「ノンケ・ウォール」(今命名した)を感じる場面がある点が否めなかったのも事実。

どの点でそう感じたかについて、これから具体的に5つのポイントで述べます。

 

先立って、ここでご留意いただきたいことを3点述べます。

一つ目、いくつか言及するゲストやMCの方に明確な悪意があるとは思っていませんし、差別主義者だとも思っていません。ただし、悪意がなくてもときに人は差別的な言動や偏見の再生産をしてしまうし、無自覚に差別構造に加担してしまいます(もちろん僕も)。そのような言動について、述べています!

二つ目、個々人のゲストの言動への批判だけでなく、場の設定や構造についての批判をしています。上記の差別的な言動は、その場の状況や、構造の中で促進されるものです。今後、偏見に基づくコメントや差別的な言動が起きにくいような場づくりがなされるといいなと思って書いています!

三つ目、全て僕の個人的な指摘です!

 

──批評モード、突入。

 

①人選バランス

・スタジオMCについて

MCに関してはかなり良いバランスだったのではと感じます。5名とも同性同士の恋愛を比較的フラットに語れて、これまでの恋リア視聴者へのリーチも申し分なし。

当事者であるドリアン・ロロブリジーダ氏も起用されていたほか、特にホラン千秋さんは社会システムに対する言及も適切に行うなどとても心強いシーンが多かったです。(一部MCによるハラハラする言動も見られますが、それは後半で言及します)

ただし、当事者が1人であることで、どうしてもドリアンさんの個人的な見解がクィアとしての代表性を帯びてしまったことも事実だと思います。
ゲイやバイセクシュアルの男性と一口に言っても多様性があるということが本編でこんなに豊かに示されている一方で、スタジオでの当事者が1人であることによる限界が感じられるシーンもあり、代表性が付きまとうことはドリアンさんにとっても不本意でしょうから、これは場の設定として苦しかったんじゃないかと思ってしまいました。

・「ボーイフレンドナイト」ゲストについて

「ボーイフレンドナイト」の人選バランスについては、ジェンダーのバランスが取れていたことを除いて、あまり良くなかったと思います。

4回の放送の中で、出演者が出る4回目以外の3回は全て、非当事者の(少なくとも当事者だと公表していない)ゲストのみによって構成されます。当事者の視点が一切ないことが、後に述べるようなトピックの偏りや偏見を加速させたことは言うまでもないことのように思います。

実際問題、日本にはクィアであることをカミングアウトしている芸能人はまだまだ多くはないし(それ自体が問題)、マーケティング戦略として非当事者に届けるための人選なのであればそれはそれで功を奏している側面もあるでしょう。

ただ、MCとゲストを全員当事者にしろとは言わないし、もう1人ずついるだけでも印象は大きく変わったんじゃないかなと思ってしまいます。当事者向けか、非当事者向けかという二者択一ではなく、どちらにも届く構成にする余地はまだまだあったのではないかというのが本音です。

 

②「過度な同化」と「消費意識」

これは主に「ボーイフレンドナイト」で感じたことですが、「過度な同化」と「消費意識」の2つの志向が場全体にあったように思います。順に説明します。

「過度な同化」というのは、異性愛者と非異性愛者の共通する視点「ばかり」を取り立てる姿勢のことをここでは指しますが、今回特に見られたのは「異性間でも同性間でも恋愛する気持ちは同じ」という言説です。

同じだから同性愛も普通のこと、というわかりやすい肯定の立場につながる側面もあるので一概に悪いわけではないけど、そのせいで同性同士の恋愛特有の苦悩や難しさをおざなりにするのはいただけません。

現に、ボーイフレンドナイトでは、クィアであることの大変さやカミングアウトの苦悩などのシーンはあまり取り上げられることなく(第1回は比較的言及があったものの、同化の文脈に回収されがち)、
異性愛者でも共感できるであろう恋愛のシーンばかりが取り上げられることになります。テホン兄さんの大事な話とかをもっと広げる気はなかったわけ????

 

冒頭で述べた通り、本編は、同じ部分と違う部分のバランスを非常に緻密にコントロールしていたように思うからこそ、そのスタンスが派生コンテンツにも反映されていてほしかったなと思うわけです。

異性愛も同性愛も同じく尊重されるものという認識が広がったのはこの作品の功績なのだけど、「同じじゃん」では解決されない社会制度上の不平等があることが(あえて)触れられないのならば、それはすごく勿体無いことだと言わざるを得ません。

「同じだからいいね」まで来たのなら、もう一歩だけ踏み込んで「同じなのに不平等があるのはおかしい」にまで行って欲しかった。そのもう一歩があるかないかで、9人の先にある未来は大きく違うように思うのです。

 

 

この過度な同化の背景にあるのが「消費意識」だと考えます。僕なりに言い換えるならば「自分や社会の変化を回避し、安全地帯から楽しく対象を鑑賞しようとする」姿勢のことです。

特に「ボーイフレンドナイト」第1回で顕著だったのが、「(苦悩などが描かれるかと思ったら恋愛を楽しむ番組だったから、異性愛者の)夢中になれた、問題が一切目に入らなかった」(27:08頃)「サラッと簡単に見れる」(16:50頃)「自分でも不思議なくらい普通に恋愛リアリティとして見れた」(27:30頃)というコメントです。

第2話でカズトが「なんでこんな風に生まれてきちゃったんだろうって、こっちの人は誰しも思うよね」と赤裸々に吐露するシーンをはじめ、本編には社会やこれまでの自分について考えるきっかけになりうる場面がいくつもあります。
それでもなお、上記のようなコメントを言えてしまうのは、自分や社会について省みたり、当事者の苦悩に目を向けるよりも、恋愛という自分が共感できる楽しい部分だけ話したいという意識があるからのようにも映ってしまいます。ごめんけどね

純粋に恋愛をキャッキャ楽しんでいただくのは良いことだと思うけど、「ボーイフレンドナイト」第1回の当事者が不在の場で「重くとらえずにキャッキャ見ても大丈夫」(17:30頃)とか「多分出演者も過剰に意識するのは求めてない」(27:00頃)って、仮にそうだとしても、あんたたちがそれを言ってもいいと思ってるわけ??ってなるんだよね^ ^


確かに、自ら現実を直視する人や、自ら変わりたいと思ってくれる人は少ないだろうし、同性愛に対して勝手に上げているハードルを下げてもらうことが最初のきっかけなので、多くの人に届ける上ではこういうコメントになるのかもしれません。

ただどうしても、生きやすい社会のためにはマジョリティの方に変わっていただく必要があるんです本当にお願いしますどうか彼ら私たちのために

そして、この作品に社会を変えていく力があると思うのです、本当に、この作品の可能性をもっと信じてほしい 信じてほしかった

 

えなんか冷静に、9人に幸せになってほしいと思ったときに、本編でも言及されている、自分が望む家族の選択肢を取れない社会や、ゲイとして生まれてきたことを思い悩む社会の話を避けて通るのは難しいって、誰も思わなかったのかな

なんかせめて一言くらいさ、ホラン千秋氏を見習って「生きやすい社会になってほしいですね」くらいのコメントとかそういう気持ちはなかったわけ?????
(あの後の徳井さんの茶化しも、そういうところだぞ!と思いました たまには真面目な話も真面目にしようや) これが高望みなら僕はどうすればいいわけ本当に

決して暗い話をたくさんしろと言っているわけではなく、
同性同士の恋愛は異性の恋愛と同じように楽しいこともあるし、異性の恋愛と違って苦しいこともある(逆も然り)、そのどちらもが描かれているのだから、多少の時間を割いて真面目に言及しても良かったんじゃないかというお話です。

ただしこれを今の人選バランスでやろうとするのも難しいので、結局は場の設定がまずいだろうという指摘に帰着します。

 

③表現の曖昧化

「過度な同化」に近い事柄として、主に「ボーイフレンドナイト」で、クィアにとって重要な話をあえてぼかす言葉遣い・表現も散見されました。

例えば、男同士だと人目が気になるからデートスポットに行けないという話を「恋愛観」と表現したり(第2回 25:00頃)、マジョリティに対する異議申し立ての是非についての主張を「人生観」と表現するシーンが見られました。(第1回 12:20頃)

単なる一般名詞化じゃんと思われるかもしれませんが、これは重要なトピックの内容に踏み込まない表現であるだけでなく、社会が抱える問題を、個人の「感じ方」に矮小化させる表現であるようにも感じます。

なんかさ、例えば「こういう社会のせいでこういうこと困ってるんだよね」って言った時に「あなたの価値観でそう思うんだね」って返されたら、モヤつかない?モヤついた方がいいと思うんだけどうち的には

一方で、8話のデートシーンにおいて、ゲストの方のコメントが字幕上で「ふうふみたい」と表記されていたのはすごく良かった、字幕作成者のあなた!!ありがとうございました。

 

④無自覚な偏見

加えてゲストの方の、男性同士の恋愛に対する無意識の偏見が露呈している瞬間も、「ボーイフレンドナイト」(特に第1回)において散見されました。

例えば、「ゲイの友達がいる」ということを免罪符にゲイの人ってこうだからと話すゲストの方の発言(画面に「※個人の見解です」という注意書きはありました)がその場でスルーされていたり、(04:48頃)
ギャグのつもりかもしれませんが「男同士だからって殴り合って取り合いするわけではなく、ちゃんと心で距離を詰める」っていう発言で笑いが起きていたりね。(17:33頃)

あんたは本当に男同士だからって殴り合いで取り合いすると思ってたわけ?人間なんだから心と心で距離つめられますよ^ ^怒

細けぇ〜と思うでしょ?そうだよ でもこんな違和感、僕も感じたくて感じてるわけじゃないんだよね

個人の発言とはいえ、おそらく生放送じゃないから編集でどうにかするとか、そういう対応が見れるともっと安心して観れたかも……と思ってしまいました。

 

恋愛至上主義の限界

これは恋愛リアリティショーの宿命ともいうべきことかもしれませんが、②で触れたとおり、同性愛を肯定するロジックが「異性愛も同性愛もどっちも恋愛は美しい!」になりがちだったので、とりわけ今回のボーイフレンドを語る上で付きまとってしまう考え方でした。

ただし今回のボーイフレンドは、これまで述べてきたとおり、恋愛以外の部分での9人の連帯や成長を描いた作品であり、恋愛以外の関係性が、恋愛に比べて劣るという描き方はされていなかったように思います。
そういった本編のあふれんばかりの関係性の豊かさが、トーク番組でももっと時間を割いて語られていると、もっともっと魅力が伝わったんじゃないかなと思いますし、恋愛リアリティショーのイメージを覆すような見方ができたんじゃないかなと思いました。

あと普通に、異性間のリアリティショーでも友情とかに焦点当てたやつ見てみたい(すでにあったら教えてください)

 

──批評モード、終了。

 

本編自体が素晴らしかったのはいうまでもないこと!!!

むしろ、本編がこんなにもエンパワメント溢れる作品なのに、周囲の発言などを通してそれを取り巻く異性愛規範の分厚さを感じてしまう歪な構造が見ていて苦しかったよという叫びでございました。聞いていただきありがとうございました。

 

最後に

本当に、関わってくださった全ての皆さんに特大の感謝とボーナスを

インタビューによるとすでに続編の動きもあったりなかったりするようなので、もっともっとクィアの恋愛や連帯の多様な姿が、多くの人に希望を与えることを心待ちにしております。

 

***

9人の青春の煌めきは、海の水面をゆらめきながら反射する太陽の光のようで、僕たちにその移ろいゆく輝きを垣間見させてくれました。眩しいほどに光る瞬間もあれば、その光を分厚い雲が覆い隠してしまう時もありました。

けれど次の日、次の瞬間にはまた輝きを取り戻すように、儚くてそれでいて強い光を放つ9人から、大きな勇気をもらいました。

でもその儚さが、同性を好きになるという理由だからなのだとしたら、そんな儚さがなくて済む社会の方がいいに決まっています。

9人の光が、同性を好きになるからという理由だけで理不尽な雨風に晒されることなく、健やかに、望むように輝きを持続させていってほしい。この番組が、その一つのきっかけになることを願います。

 

 

 

 

※多分、明日のボーイフレンドナイトの出演者集合回を見て以下に大量加筆する可能性があります。